ADVOKEY決める前の準備

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離婚の裏ルール帳
相手も、ネットも、先に教えてくれない30のこと

返事や署名の前に、子ども・お金・手続で確認したいことを整理しませんか。まずは、いま気になる項目からご覧ください。

このページでは、条件を決める前に確認したい30のポイントと、準備に使える3つの書式と算定ツールをご紹介します。

まずは、上から3つだけ。

全部を一度に読む必要はありません。最初の3項目を読み、いま気になる見出しを一つ選んでください。各項目には「今日の一手」を載せています。無料書式3点は、下の一覧から開けます。

30のルールを読み始める →

知らないと損をする30のルール

上から順に読まなくて構いません。いま気になる見出しから。各ルールの末尾に、有料版でどの章に続くかを書いています。

Ⅰ お金は「日付」で決まる

  1. RULE 01

    別居中の生活費(婚姻費用)は、「請求した日」からしかもらえないことが多い。

    黙って我慢していた月は、原則として後から戻りません。実務では、請求の意思が相手に伝わった時か、調停を申し立てた時が始まりの基準になることが多いからです(最終判断は家庭裁判所)。

    今日の一手 「別居した○月分から生活費を請求します」と、日付が残る形で伝える。LINEでも記録になります。確実にするなら、下の書式①(内容証明)。急ぐなら、通知を飛ばして調停の申立てでも構いません(RULE 02)。

    根拠:民法760条/家庭裁判所の実務運用 ▶ 本編 第5章

  2. RULE 02

    相手の返事は、待たなくていい。内容証明を出していなくても、今日、調停を申し立ててよい。

    婚姻費用分担調停の申立てに、事前の通知も、内容証明も、相手の同意も要りません。いちばん確実な「請求」は、申立てそのものです。通知文を書くかどうかで迷っている月は、後から取り戻せない月になり得ます。申立費用は収入印紙1,200円と、連絡用の郵便切手(金額は裁判所により異なります)。弁護士なしで申し立てている人が大勢います。

    今日の一手 家庭裁判所のサイトで「婚姻費用分担請求調停」の申立書を開いてみる。書けそうだと分かるだけで、相手との力関係が変わります。

    ▶ 本編 第6章、書式02(申立書記入例)

  3. RULE 03

    財産分与の「基準日」は、離婚した日ではなく別居した日。

    別居の日にあった財産を、原則として2分の1で分けます。別居後に相手が使い込んでも、基準日の財産は基準日のまま計算するのが原則です。だから「別居した日」を証拠に残すことが、財産分与の第一歩です。

    今日の一手 別居日が分かる記録(転居の手続、賃貸契約、相手とのやり取り)を一か所に集める。

    根拠:民法768条 ▶ 本編 第20章、書式04(財産目録)

  4. RULE 04

    専業主婦でも、パートでも、原則2分の1。令和8年4月から条文に書かれた。

    「稼いでいないから少なくなる」は原則として誤りです。家事と育児による貢献は、収入と同じ2分の1の寄与として扱われます。改正で民法768条3項に明文化されました。

    今日の一手 相手から「お前は働いてないから」と言われても、その場で数字に応じない。

    根拠:民法768条3項(令和8年4月1日施行) ▶ 本編 第21章

Ⅱ 見落とされる財産

  1. RULE 05

    相手の「まだもらっていない退職金」も、分ける対象になる。

    別居時点で自己都合退職したらいくらになるかを会社の規程から出し、そのうち婚姻期間に対応する部分が対象になります。相手が自分から言い出すことは、まずありません。

    今日の一手 相手の勤務先の退職金制度があるかどうかだけ、分かる範囲で確認。金額は調停で開示を求められます。

    ▶ 本編 第23章

  2. RULE 06

    学資保険は「子どものもの」ではない。夫婦の財産として分ける対象。

    契約者が相手で、保険料を家計から払っていたなら、解約返戻金相当額が財産分与の対象です。「子どものためだから触らない」と黙っていると、そのまま相手名義に残ります。

    今日の一手 保険証券か、保険料控除証明書(年末調整の書類)を探す。会社名と証券番号が分かれば足ります。

    ▶ 本編 第23章

  3. RULE 07

    子ども名義の預金も、元のお金が夫婦の収入なら分ける対象。

    名義ではなく「原資」で決まります。お祝い金など子ども自身がもらったお金は子どものもの、夫婦の給料から積み立てたものは夫婦のもの。混ざっている口座は、通帳の入金履歴で切り分けます。

    今日の一手 子ども名義の口座を一覧にし、入金の出どころをメモする。

    ▶ 本編 第23章

  4. RULE 08

    相手が財産を隠しても、調べる「正規の手続」がある。逆に、無断でスマホやネット銀行を見るのは停止線。

    調停での調査嘱託、財産開示手続、第三者からの情報取得手続(給与は市区町村・年金機構、預金は銀行本店への照会)。手続を知っていれば「隠されたら終わり」ではありません。一方、相手の端末やアカウントへ無断でログインする行為は、証拠として使えないだけでなく、あなたが責任を問われる側になります。

    今日の一手 「どこの銀行を使っているか」「勤務先」だけ分かれば、後で手続が届きます。自宅に届く郵便物の差出人名(銀行・証券・保険)を見るのは適法な範囲です。

    根拠:民事執行法196条以下、205条〜207条 ▶ 本編 第36章・第37章、書式11

Ⅲ 年金と期限

  1. RULE 09

    年金分割の「情報通知書」は、離婚前に、相手に知られず一人で取れる。

    年金事務所に「年金分割のための情報提供請求」をすると、分けられる年金記録の内容が分かります。請求したことは相手に通知されません(離婚前に請求した場合)。調停を申し立てる前に取っておくと、条件の話が一気に具体的になります。

    今日の一手 年金手帳か基礎年金番号通知書を探す。年金事務所で申請できます。

    ▶ 本編 第8章・第25章、書式08

  2. RULE 10

    3号分割は、相手の合意がいらない。割合も0.5で固定。

    平成20年4月以後、あなたが第3号被保険者(会社員・公務員の配偶者で扶養に入っていた期間)だった期間は、相手の同意なしに年金事務所へ請求できます。合意分割(それ以外の期間)の上限も0.5です。

    今日の一手 自分が「扶養に入っていた期間」がいつからいつまでかを書き出す。

    ▶ 本編 第25章・第26章

  3. RULE 11

    財産分与も年金分割も、請求期限が2年から5年に延びた。ただし「令和8年4月1日以後の離婚」だけ。

    それより前に離婚した人は、期限は2年のままです。離婚届を出す日が3月か4月かで、請求できる期間が3年変わる。知っている人だけが得をする典型です。

    今日の一手 「離婚した後で財産分与を請求するつもり」なら、離婚日と期限をカレンダーに入れる。

    根拠:民法768条2項(改正後)、厚生年金保険法78条の2(令和7年法律第74号) ▶ 本編 第24章・第26章

Ⅳ 慰謝料の現実

  1. RULE 12

    「性格の不一致」では、慰謝料は原則出ない。慰謝料を前提に条件を組むと、交渉全体が崩れる。

    慰謝料が問題になるのは、不貞、暴力、悪意の遺棄など、相手に法的な責任がある場合です。「つらかったから」だけでは通常認められません。取れないものを最初に要求すると、取れるはずの財産分与や養育費の話まで進まなくなります。

    今日の一手 自分の希望条件を「財産分与・養育費・年金分割・慰謝料」の4つに分け、慰謝料は最後に置く。

    ▶ 本編 第27章

  2. RULE 13

    不倫相手に「離婚させられた」慰謝料は、原則請求できない。請求先の選び方が先。

    最高裁は、不貞相手に対して「離婚したこと自体」の慰謝料を求めることは原則できないとしました(最判平成31年2月19日)。請求できるのは不貞行為そのものへの慰謝料で、配偶者と不倫相手のどちらに、いくら、いつ請求するかを先に設計します。

    今日の一手 証拠を「日時・場所・誰と・何が分かるか」で一覧にする(相手の端末を無断で見た記録は入れない)。

    根拠:最高裁平成31年2月19日判決 ▶ 本編 第28章、書式27・42

Ⅴ 子ども

  1. RULE 14

    「養育費を払わないなら会わせない」「会わせないなら払わない」は、どちらも法的に通らない。

    養育費と親子交流(面会交流)は、法律上は別の問題です。片方を理由に片方を止めると、あなたの側が不利な記録を残すことになります。会わせたくない事情がある場合は、その事情(暴力・連れ去りの危険など)そのものを主張します。

    今日の一手 相手とのやり取りで、この2つを取引条件のように書かない。

    ▶ 本編 第19章

  2. RULE 15

    令和8年4月から、取り決めがなくても「法定養育費」(月2万円)を請求でき、給料の差押えに使える先取特権が付く。

    離婚時に養育費を決めなかった場合でも、所定の要件を満たせば、法律上の最低額を請求できるようになりました。しかも公正証書や調停調書がなくても差押えの申立てができる場面があります。「決めずに離婚してしまった人」の救済策です。

    今日の一手 これから決めるなら、法定養育費より算定表の金額の方が高いのが普通です。算定表で決めるのが本筋。

    根拠:民法766条の3、306条3号、308条の2、民事執行法193条 ▶ 本編 第15章、書式05

  3. RULE 16

    相手が自己破産しても、養育費と婚姻費用は消えない。

    破産で免責されない債権に、養育費と婚姻費用は明記されています。「自己破産するから払えない」と言われても、請求権は残ります。

    今日の一手 「破産」の言葉で請求を止めない。

    根拠:破産法253条1項4号 ▶ 本編 巻末Q&A Q36

  4. RULE 17

    養育費の差押えは、給料の手取りの2分の1まで、将来分もまとめて申し立てられる。だから「執行できる形」で決めることがすべて。

    通常の借金の差押えは手取りの4分の1まで。養育費・婚姻費用は2分の1までで、さらに、これから発生する分まで一度の申立てで差し押さえられます。ただし、これができるのは調停調書・審判・強制執行認諾文言付きの公正証書がある場合。口約束やLINEの合意では、この力は使えません。

    今日の一手 協議で決めるなら「公正証書にする」を条件から外さない。相手が渋るなら調停へ。

    根拠:民事執行法151条の2、152条3項 ▶ 本編 第7章・第16章、書式10・23

Ⅵ 調停と手続の裏側

  1. RULE 18

    調停委員は「味方」ではなく中立。A4一枚の要点メモを手渡すのがいちばん効く。その場で答えなくていい。

    調停委員は事情を代わりに整理してくれる人ではありません。泣いても、緊張しても、A4一枚に「求めること」と「根拠」が書いてあれば伝わります。想定外の提案が出たら「持ち帰って検討します」で構いません。その場で決めた条件は、後から直せないことが多い。

    今日の一手 下の書式②(A4一枚メモ)を開いて、「求めること」の欄だけ埋めてみる。

    ▶ 本編 第9章・第10章、書式07

  2. RULE 19

    「清算条項」に同意すると、後から見つかった財産を原則請求できなくなる。

    調停条項や協議書の最後にある「その他、互いに何らの請求をしない」という一文です。これに同意した後に相手の隠し口座が分かっても、原則として請求できません。同意の前に「まだ判明していない財産はないか」を確認し、必要なら「未判明財産は別途協議」の一文を入れます。

    今日の一手 協議書や調停案を受け取ったら、まず最後の条項から読む。

    ▶ 本編 第11章・第24章、書式23

  3. RULE 20

    勝手に離婚届を出されるのを、無料で防げる。住所を知られたくないなら、住民票の閲覧を止められる。

    「離婚届不受理申出」を本籍地または住所地の市区町村役場に出しておくと、あなたの意思確認なしに離婚届が受理されません。無料で、取り下げるまで有効です。暴力等がある場合は、住民票・戸籍の附票の閲覧制限(支援措置)で新住所を守れます。

    今日の一手 サインした離婚届を相手に渡してしまった、または渡すよう迫られている人は、今日、役場へ。

    根拠:戸籍法27条の2第3項〜5項/住民基本台帳事務における支援措置 ▶ 本編 第3章・第34章、書式14・35

Ⅶ 攻めの10手 ——ここからは、知っている人がほとんどいない

  1. RULE 21

    別居後の生活費は、必要額と支払方法を先に整理する。

    家賃、食費、子どもの費用など、当面の生活に必要な額を書き出します。夫婦の財産を後で分けることと、いま相手名義の口座から引き出せることは別の問題です。名義、管理の合意、使途などで扱いが変わるため、「生活費なら自由に使える」とは判断しないでください。

    今日の一手 必要な生活費と手元の資金を一覧にし、不足する場合の婚姻費用の請求方法を確認する。

    ▶ 本編 第2章

  2. RULE 22

    出る前に、自分が見られる資料は「一部でも」写真に残す。一部の写真が、調停で相手に全部を出させる足場になる。

    自分宛ての郵便物、家に届く金融機関・保険・証券の封筒の差出人、年末調整の書類、給与明細の控除欄(財形・持株会・保険)、保険料控除証明書。自分が適法に見られるものは、全部でなくてよい、一部でよい。「この銀行に口座があるはず」と示せれば、裁判所を通じて開示を求められます。逆に、相手のスマホ・ネットバンクへの無断ログイン、パスワード解除、GPS設置は停止線です。

    今日の一手 家に届いた金融機関の封筒の「差出人」だけ、今日から写真に撮る。

    ▶ 本編 第2章・第20章・第37章、書式46・50

  3. RULE 23

    相手が「無職になった」「収入が減った」と言っても、働ける人には「働けば得られる収入」で計算を求められる。

    婚姻費用・養育費の算定では、健康で働ける人が意図的に無職・低収入でいる場合、潜在的な稼働能力として平均賃金(賃金センサス)などで収入を認定する運用があります。申立ての直前に会社を辞める、自営業の申告を急に下げる、といった手も、資料と経緯を出せば見抜かれます。

    今日の一手 相手の職歴・資格・直近の年収を分かる範囲で書き出す。「本来なら稼げる人だ」と示す材料になります。

    ▶ 本編 第5章・第6章、書式43・45

  4. RULE 24

    「住宅ローンを払っているから生活費は払わない」は通らない。調整はされるが、全額差し引かれるわけではない。

    あなたが住み続ける家のローンを相手が払っている場合、婚姻費用の額は一定の調整を受けます。ただし、ローン全額を生活費から引く扱いにはならないのが実務です。ローンの支払は相手自身の資産形成でもあるからです。

    今日の一手 ローンの月額と、算定表の金額を並べて書く。「ゼロ」と言われても数字で返せます。

    ▶ 本編 第6章、書式45

  5. RULE 25

    相手が財産を動かしそうなら「保全処分」。財産開示に出てこなければ「刑罰」がある。

    財産分与の審判が出る前に相手が預金を移しそうなら、審判前の保全処分を申し立てられます。裁判所での財産開示手続に正当な理由なく出頭しない、嘘を言うと、6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象です。「隠せば勝ち」ではなくなっています。

    今日の一手 相手が急に口座を解約した、車を売った、などの「動き」を日付付きでメモする。保全の必要性の証拠になります。

    根拠:家事事件手続法105条、民事執行法213条1項5号・6号 ▶ 本編 第20章・第37章、書式11・38

  6. RULE 26

    調停は、ウェブ会議や電話で参加できる場合がある。遠方を理由に条件を譲らなくていい。

    調停は原則として相手の住所地の家庭裁判所に申し立てます。遠方の場合、ウェブ会議や電話会議での参加が認められることがありますが、可否は裁判所の判断と各庁の運用によります。「必ず使える」ものではないので、あきらめるのではなく、先に確認するのが正しい順番です。待合室を分ける、出頭・退出の時間をずらすといった配慮も、申し出れば検討されます。

    今日の一手 進行照会書に「ウェブ会議・電話会議での参加を希望」「相手方と同席しない配慮を希望」と書き、可否を担当書記官に確認する。

    ▶ 本編 第8章・第9章、書式03・57

  7. RULE 27

    相手が「離婚しない」と言い続けても、時間はあなたの側に流れる。別居中、相手は生活費を払い続ける。

    相手が離婚に応じなくても、別居が長く続けば、裁判で「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚が認められる方向に進みます(年数は事情によります)。そしてその間、相手には婚姻費用の支払義務があります。離婚を拒み続けることは、相手にとって毎月お金が出ていく選択です。この構造を知っているだけで、焦って条件を下げる必要がなくなります。

    今日の一手 まず婚姻費用を確定させる(RULE 01・02)。それが「待てる立場」を作ります。

    根拠:民法770条1項5号 ▶ 本編 第1章、巻末Q&A「相手が離婚に応じない・別居何年」

  8. RULE 28

    子どもとの転居は、安全と必要な手続を確認する。

    子どもの転居は、現在の親権・監護の定めや、父母の合意、安全上の事情を確認して考えます。学校や役所への連絡を済ませただけで、転居が適切かどうかが決まるわけではありません。DVや虐待からの避難が必要な場合は安全確保を優先し、避難先を相手へ知らせることを前提にせず、支援窓口や弁護士と連絡方法を確認してください。相談のために避難を遅らせないでください。

    今日の一手 現在の親権・監護の定め、子どもの生活、安全上の心配を整理する。急ぐ場合は、資料がそろうのを待たず相談する。

    ▶ 本編 第3章・第12章、書式22

  9. RULE 29

    親権で見られるのは「これまで誰が育ててきたか」の記録。今日から日付付きで残す。

    家庭裁判所の調査官が見るのは、収入や家の広さより、監護の実績と継続性です。連絡帳、送迎、通院、行事への参加、食事、寝かしつけ。これまで当然にやってきたことを、日付付きで記録に変えるだけで、主張の重さが変わります。母子手帳、保育園の連絡帳、学校からのメールは、そのまま証拠になります。

    今日の一手 スマホのメモに「日付・やったこと」を1行。今日から。

    ▶ 本編 第13章、書式56

  10. RULE 30

    弁護士費用は原則として相手に請求できない。だから「どこまで自分でやるか」を決めてから相談に行く。

    離婚事件の弁護士費用は、着手金・報酬を合わせて数十万円からが一般的で、勝っても相手に請求できるものではありません。収入・資産が一定以下なら法テラスの民事法律扶助で費用の立替(月々の分割で償還)と無料相談が使えます。調停は本人で進めている人が多く、必要な場面(相手に弁護士が付いた、財産が複雑、裁判になった、DVで交渉できない)だけ依頼する組み方もあります。

    今日の一手 法テラスの収入要件を確認する。該当すれば、相談は3回まで無料です。

    ▶ 本編 序章0-8、第1章

相手が言ってきそうなセリフ10と、その返し

言い返す必要はありません。「そうではない」と知っていれば、その場で頷かずに済みます。頷かなかった事実が、後の条件を守ります。

  1. 「お前は働いてないから、財産は渡さない」

    → 家事・育児の貢献は収入と同じ2分の1。令和8年4月から条文に明記されています(RULE 04)。

  2. 「退職金はまだもらってないから関係ない」

    → 将来の退職金も、別居時に退職したらいくらかで計算して分ける対象です(RULE 05)。

  3. 「学資保険は子どものものだから触るな」

    → 契約者と保険料の出どころが夫婦なら、夫婦の財産です(RULE 06)。

  4. 「離婚しないなら生活費は払う。離婚するなら払わない」

    → 別居中の生活費(婚姻費用)は、離婚の意思と関係なく法律上の義務です。請求した日から発生します(RULE 01・27)。

  5. 「弁護士なんかつけたら、子どもに会わせない」

    → 代理人を付けることと親子交流は無関係で、交流は養育費とも別問題です(RULE 14)。この発言は日付付きで記録しておきます。

  6. 「性格の不一致はお前のせいだ。慰謝料を払え」

    → 性格の不一致では、どちらの側にも原則として慰謝料は発生しません(RULE 12)。

  7. 「とりあえず離婚届にサインして。条件は後で決めよう」

    → 先に離婚が成立すると婚姻費用は止まり、財産分与・年金分割には期限が付き、養育費も決めないまま始まります。条件を決めて、執行できる形にしてから(RULE 11・17・19・20)。サイン済みの届を渡してしまったなら、不受理申出を今日。

  8. 「自己破産するから払えない」

    → 養育費と婚姻費用は、破産しても消えません(RULE 16)。

  9. 「その口座の金は俺が稼いだ。返せ」

    → 財産分与の対象になるかは、名義だけでは決まりません。ただし、相手名義の口座から自由に引き出せるという意味ではありません。支出の時期・金額・使途や管理の合意を整理して確認します(RULE 21)。

  10. 「調停なんて行かない」

    → 相手が来なければ調停は不成立となり、離婚は訴訟へ、婚姻費用・養育費は審判で裁判所が決めます。欠席は、来ない側に不利に働きます(RULE 02・27)。

書式① 婚姻費用請求の内容証明(そのまま使える文例)

RULE 01の「請求した日」を証拠にする書面です。有料版の書式06をそのまま出しています。赤字部分(下の枠では○○)をあなたの事情に置き換えてください。

コピーしてメモ帳やWordに貼り付けてください。
  • 金額の決め方 裁判所の「婚姻費用算定表」で、双方の年収と子の人数・年齢から幅を引き、上限寄りで書きます。相手の収入が分からなければ「相当額の婚姻費用の分担金の支払を請求します」と書いても、請求日を固定する目的は果たせます。
  • 書かないこと 離婚したい気持ち、相手への非難。後で不利な証拠として使われることがあります。
  • 出し方 同じ文書3通と封筒1通(封をしない)を内容証明を扱う郵便局へ。必ず「配達証明」を付けます(到達日の証明になります)。料金は本文1枚で合計1,420円(2026年7月時点。窓口で最新額を確認)。自宅から出すなら日本郵便の「e内容証明」。
  • 安全が心配な人 差出人住所を書く必要があるため、現住所を知られたくない場合は内容証明を使わず、直ちに調停を申し立てて非開示の希望を出す方法があります。通知より安全を優先してください。
  • 出したあと 配達証明のはがきを保管。相手の返事を待たずに調停申立てへ進んでよい(RULE 02)。そもそも、この通知を出さずに直接申し立てても構いません。

書式② 調停に持っていくA4一枚メモ(テンプレート)

RULE 18の「手渡すメモ」です。有料版の書式07から、記入例の数字を外して枠だけにしました。必ずA4一枚以内。相手方にも伝わる前提で、悪口や診断名の決めつけは書かず、事実だけ。

  • 「3 求めること」が本体。結論→根拠の順。数字は「なるべく多く」ではなく「算定表でこの幅、だから○万円」と紐づける。
  • 「譲れる点」は必ず書く。ただし、いくらまで譲るかは書かない(「協議できる」とだけ)。
  • 期日ごとに作り直す。2回目以降は「前回からの進展+今日決めたいこと」だけに絞る。
  • DVがある場合は「6 進行についてのお願い」を最初に置いてよい。安全の配慮は何度求めても構いません。

書式③ 差押えに使える養育費条項(公正証書・合意書の核)

RULE 15・17の「執行できる形」の本体です。有料版の書式05(養育費合意書ひな型・先取特権対応)から、条項の核だけを出しました。「月々ちゃんと払う」式の文言では差押えに使えません。始期・終期・月額・支払期日・振込先の5点を必ず書きます。

  • 子が2人以上のときは「1人につき月額○万円(合計月額○万円)」と書く。合計額だけで書くと、差押えの段階でどの子の分か分からず不利になり得ます。
  • 終期は「満20歳に達する日の属する月」「18歳に達した後の最初の3月」などの言い切り型に。「大学に進学した場合は…」の条件付きは、差押えの場面で条件の証明を求められ止まります。進学時の上乗せは再協議条項へ。
  • 振込手数料は支払う側の負担と明記。書かないと手数料を引いて振り込まれ、毎月の火種になります。
  • 私文書のままでは弱い。先取特権で優先して差し押さえられる枠は子1人につき月額8万円が基準で、超える部分や確実な執行には、公証役場で強制執行認諾文言付き公正証書にするか、調停調書にします。費用は公証役場の手数料が数万円程度。ここは削らないでください。
  • 安全配慮が必要な場合は、住所・勤務先・子の学校を開示しない条項(安全配慮型)を入れます。本編書式05に全文があります。

弁護士相談30分を、無駄にしない台本

初回相談は30分5,500円前後が一般的です(法テラスの要件を満たせば無料相談もあります)。この30分は、事情を「聞いてもらう」時間ではなく、判断材料を「持ち帰る」時間です。

持っていくもの(5点)

  1. 時系列メモ(A4一枚。結婚・出産・別居・主な出来事を日付で)
  2. 双方の収入が分かるもの(源泉徴収票、給与明細、課税証明。分かる範囲で)
  3. 財産と負債の一覧(預金・保険・不動産・ローン・車。分かる範囲で)
  4. 証拠は「日付が分かる形」で(スクリーンショットは日時が入るように)
  5. この質問リスト(印刷かスマホで)

必ず聞かれること(先に答えを用意)

  • 結婚した年、子の年齢
  • 別居しているか、いつからか
  • 双方の収入のおおよそ
  • 主な財産と負債(家とローンの有無)
  • 離婚したい理由と、それを示す証拠の有無
  • 相手は離婚に応じそうか
  • 希望条件の優先順位(親権・お金・住まい)

聞く質問(10) ——「どうすればいいですか」ではなく、この順で

  1. 私のケースで、婚姻費用の目安はいくらで、いつから請求できますか。
  2. 別居のタイミングと形で、不利になる点はありますか(子を連れる場合を含めて)。
  3. 財産分与の基準日をいつと主張できますか。見落としている財産はありませんか。
  4. 年金分割の情報通知書は、今取ったほうがいいですか。
  5. 慰謝料は現実的に見込めますか。見込めないなら、条件をどう組みますか。
  6. 親権(単独か共同か)の見通しと、監護実績として今から残すべき記録は何ですか。
  7. 協議・調停・訴訟のどれで進めるべきですか。費用と期間の目安は。
  8. 依頼した場合の費用体系と、依頼せずに自分で進められる範囲はどこまでですか。
  9. 今すぐやってはいけないことは何ですか(証拠の取り方の停止線を含めて)。
  10. 次に相談するまでに、私が集めるべき資料は何ですか。

10問すべて聞けなくて構いません。1〜5を聞けば、条件の骨格は持ち帰れます。

体験版 ——有料版の画面を、そのまま触れます

説明ではなく、実物です。会員ログインなしで使えます。

会員画面のキャプチャ6枚と、操作動画を見る →

有料版を買うと何が手に入るのかを、加工していない実際の画面でご覧いただけます。会員トップ、章の一覧、養育費の算定結果、AI型検索、選択肢の比較、収録書式・記入例の画面を含む6枚と、約40秒の操作動画です。

上の算定ツールと18章の冒頭が「触れる体験版」、こちらが「全体像が一目で分かる見取り図」です。

いま危険がある方へ

暴力、脅し、お子さんの安全に不安があるときは、このページより先に、専門の窓口へご連絡ください。

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本ページは一般的な情報の提供です。個別の事情に応じた法律相談、代理交渉、書類の作成代行はお受けしていません。個別のご相談は、法テラス(0570-078374)又はお住まいの地域の弁護士会をご利用ください。

記載内容は、2026年9月5日時点で確認した法令・裁判所の公表資料に基づきます。引用した主な条文は民法760条、766条の3、768条、770条、306条、308条の2、家事事件手続法105条、民事執行法151条の2、152条、193条、196条以下、213条、破産法253条、戸籍法27条の2、厚生年金保険法78条の2です。本ページの作成者は弁護士ですが、本ページは弁護士業務としての法律相談・代理ではありません。令和8年(2026年)4月1日施行の改正に関する記載は、同日前に離婚した場合には適用されないことがあります(分岐の基準は離婚した日であり、閲覧している年ではありません)。金額・料金は確認時点のもので、変更されることがあります。適用の可否はご事情により異なり、特定の結果を保証するものではありません。

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